第4話:Charフリーコンサート〜レディング加入

【1979年7月14日】 朝6時 日比谷野音は雨だった。
あのCharがフリーコンサートを行う。それもトリオのバンドのデビューに近い形だ。
駆けつけない訳にはいかない。
始発で野音に行ったが、既にたくさんの人が列を作っていた。整理券が出るわけでもなくひたすら傘をさして待つことにした。その後、整理券が出たかはあまり覚えていない。
開場になっても、まだ雨は降り続いていた。入り口から走り込むと席は既にいっぱい立ち見状態!俺はPA卓の真横に陣取った。『出てキタ――――!』
『マーちゃん〜ルイス、兄貴〜ジョニー、俺だっち!まぁ雨だけどなぁ関係ねーか!まず音出して行こう!』のMCからライブはスタート。色々あったCharがJL&Cで帰って来た、、、。何だか嬉しく誇らしい気分だ。


(Johnny,Loui,&Charによる日比谷野外音楽堂でのフリー・コンサート"Free Spirit")

ライブはイントロダクションの君が代でスタート。まるでヘンドリックスのようなサウンドだ。『空回り』『去年の雨』に続き『Wasted!』この曲でのマーちゃんとのユニゾンプレイには驚かされた。そして当時浪人中だった俺に本当に突き刺さる曲、『風に吹かれてみませんか?』歌詞に完全にやられた。 リッチーブラックモアの時に思った気持ちが戻ってきた、これを仕事にしよう〜課長部長になりたきゃなればいいけど、人を騙し蹴落として行けばいいでしょう〜と言った歌には当時の自分の気持ちと重なって勇気と希望をもらった。ファンキーなリフから始まる『Open your eyes』Tommy Bolinを思わせるような『籠の鳥』Bob Marleyのことを歌ったと言われている『Natural Vibration』アイドルを皮肉った『You're like a dall baby』どの曲もRockだった。 『Smoky』の前に押し寄せるお客さんには危険を感じたなぁ…。一度仕切り直して曲が始まった。そして『Wondering again』には涙した。最後のアンコールにはゲストミュージシャンもたくさんステージ上に『Shining You』で幕を閉じた。本当に感動し大声で声援を送った!雨は完全に上がり帰り道すがらやっぱ俺はミュージシャンになるんだと強く思った。後日この模様はライブレコーディングされ発売され聞いて驚いた。俺の大声援がまるまる録音されていたのであった…。何十年も経ってジョニーとバンドをやる時にこの事を話したらジョニーは笑ってた…。
しかしこの日のライブは志を同じくした若者にもの凄い影響を残したと思う。


(1979年7月14日、日比谷野音)

1980年大学には入学したが学校へ行ってギターしか弾いていなかった。地元の楽器店のショーウインドーの中にあるGibson SGを試奏と言って弾きまくる毎日。Frank Marinoを完全コピーして楽器屋のエルクの超歪むアンプで弾きまくるのがお気に入りだったな。楽器店に出入りする若者たちともコピーバンドやったり、大学の音楽仲間とバンドを組んでライブをしたりした。大学バンドの練習スタジオは国立にあるクリエイトインで、そこには長髪のかっこいいお兄さんが店員でいた。どうしてもギターを教えてもらいたく、朝から夕方までスタジオの中をフラフラしてなかなかそれを言い出せない俺だった。
その彼は暇になると1人でスタジオーにFender TL Dlxを持って入りバリバリのロックを弾いていた。ムチャいかしたロック兄ちゃん〜やっとの思いでギタリストを目指していることを伝えると彼は君はギタリスト誰が好きなのと聞かれた。なぜか俺はBuzz Feitenですと答えてしまった、、随分背伸びをしたもんだ笑。彼は無料でレッスンをしてくれた。運指の練習のパターンをいくつも教えてくれてこれを毎日やるといいよと言ってくれた。その彼こそが何十年後に再会し今でも一緒に音を出す【谷川史郎】その人だった。今でも素晴らしい人だ、色々教わる事が多い。


(谷川史郎)

何月か忘れたが、地元の楽器店でギターを弾いている時に2人のロック兄ちゃんから声をかけられた。「君結構上手だね、、、セッションしない?」と誘われた。彼らはベーシストで近くにドラマ-がスタジオを持っているのでそこに来るようにと。家から歩いて5分位の電気屋の裏の倉庫のようなスタジオだった。3人でいろんな曲をジャムった。Blues.Jazz.Hendrix.Funk...
何でも弾けるそのベースが【サブラベルズ】の喜一だった。後日連絡が来て彼の家でミーティングが行われた。メンバーチェンジの話だったらしくギターが辞めるらしい。俺が当時はレディングと名乗っていたバンドに喜一の推薦で入ることになった。


(レディング)

彼の家には毎日のように遊びに行きいろんな音楽を聴いた。生まれて初めてBlack Sabbathを聞かさせれて俺は二度とこのバンドは聞きたくないって言ったな(笑)。そしてバンドの練習が始まる訳だがスタジオに入るとメンバー5人で8beatバッキングキングを1日中やっていた。BossのDr beatに合わせてミュートダウンピッキングのリフを何時間もやっていた。かなりのスパルタでクリック音に合わせて全員で、ドラムだけ、ベースだけ、ギターだけ、ドラムとベースだけ、ギター2人だけととにかくリズム練習をさせられた。おそらく2ヶ月ほどはその練習ばかりだった。
今となってはとても良い練習だった。自分のリズムを知る事、人のリズムを知ること。人間の集中力の限界や…周期が理解出来た。
喜一の中にはバンドの出来上がった姿が見えていたようでよく画用紙にバンドの立ち姿の絵を描いていた。その柄はみんな知ってるようにやはりおどろおどろしい感じだったかなぁー…(笑)
そんな音楽中心の生活は、勿論!学業と両立出来なくなって行ったのだ…。

(のちにサブラベルズへ…)


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